海外旅行に添乗することになると、お客様からさまざまな質問を受けます。
出発前にお客様(グループでお申し込みの場合は代表者様)に電話をかけて挨拶と当日の集合に関するご案内をする「対客電話(事前コール・安心コール)」というものがあります。そこで「何かご質問や不安なことなど、ございますか?」とお伺いします。旅慣れていらっしゃる方は、ご質問なく終わりますが、大抵、お客様からご質問をいただいたり、ご不安な点をお伺いしたりします。そんなご質問やご不安に対して、添乗員はひとつずつ丁寧に答えていきます。
また、旅行中にもお客様から質問されることは多く、的確にスピーディーに答えられることが求められます。
よくある質問を前もって把握しておくことで、スムーズに答えられるようになりますので、この記事でチェックしてみてください。
まず、出発前の対客電話でよくある質問をご紹介します。
種類別にまとめましたので、ひとつずつ確認してみてください。
・現地の気候(乾燥しているか、日焼け止めなどの日差し対策、雨具や傘の要不要)
・服装の留意点(旅行に適した履き物、羽織るものはいるか、現地における宗教上の理由による服装の留意点など)
・ドレスコードはあるか(パーティーやディナーショーがある場合など)
・両替はどこでできるか(出国前にしておくべきか、現地でもできるか)
・現地でドルやユーロは使えるか(日本円は使えるか、という質問も)
・いくらくらい持っていけばいいのか(物価相場や、お土産代の平均が知りたいという方がほとんどのため、目安を教えると良いでしょう。)
・現地でカードは使えるか
・現地のチップ事情
・飛行機の座席は希望できるか
・スーツケースの持ち込み可能サイズ
・乗り物酔いしやすくて不安
・トランジットの時間や空港の施設(乗継ぎの時間が長いが経由の空港にはレストランなどがあるか、など)
・飛行機の客室乗務員は日本人か、あるいは日本語が通じるか
・機内食の有無、回数、時間
・機内でアルコールドリンクのサービスがあるか
・アレルギーがあるが、どのように確認すればいいか(添乗員が確認してくれるか、自分で確認しなければならないか、など)
・水は硬水か軟水か
・水道水で歯を磨いても大丈夫か、水道水は飲めるか
・現地で水は購入できるか、ホテルに無料の水があるか
・治安の良し悪しと気を付けなければならない点(夜出歩くのは危険か、など)
・ホテルの設備、アメニティついて(ドライヤーがあるか、シャンプー・ボディウォッシュがあるか、など)
・ホテルのシャワーのお湯はでるのか
・停電はよくあるのか/電圧の変動で電化製品が壊れることはあるのか
・コンセントのタイプ
・電圧
・入場観光と書いてあるが、どのくらいの時間でどこを観る予定か
・下車観光と書いてあるが、どの程度滞在するのか
・車窓観光と書いてあるが、フリーの時に個人的に訪れることは可能か
・オプショナルツアーの参加は現地で決められるか、支払いはどうすればいいか
・フリータイムにどうやって過ごしたらいいか分からない
・現地で〇〇に行きたいが、ツアー中に行く時間はあるか
対客電話のよくある質問の中には、事前に郵送している「お客様用最終書面(旅のしおり)」などに明記されている資料に明記されているものも少なくありません。
しっかりと読み込んでいるお客様もいらっしゃれば、添乗員を頼りにされてご質問をいただくお客様もいらっしゃいます。
その場合、丁寧に簡潔に答えてから「しおりの○ページにもご案内がありますので、詳しくはそちらをご確認ください」と案内することで、お客様がメモを取る手間も省くことができます。
特に多いのが「服装(現地の天気・天候)」と「お金」に関する質問です。
現地のリアルタイムの天気や天候については、天気予報をこまめにチェックし、最新の情報を伝えてください。国によって気候そのものが日本とはまるで違うということがよくあります。日中と朝晩の寒暖差が激しいため脱いだり着たりできる服がおすすめ、乾燥していて唇が割れてしまうためリップクリームがあると良い、スコールが多いので雨具は必携、など、詳しい情報とともに「あると便利なもの」を伝えるとお客様から大変喜ばれます。
お金に関する質問は、両替と金額が主ですが、何を買いたいかによって必要な金額や両替額は大きく変わるので、「こういう場合(お酒を飲まれる場合、ブランド品を買いたい場合、など)はこのくらいあると安心です」という伝え方ができると良いです。
添乗中に聞かれる質問は、国や地域、季節やツアーの内容によってさまざまですが、トップ3は「トイレ」と「部屋のトラブル」と「お金」に関するものです。
・トイレはどこか
・次のトイレ休憩はいつか
・トイレットペーパーはあるか
・トイレットペーパーを流していいか
・トイレのチップは必要か、いくらくらい払えば良いか
・シャワーが出ない
・お湯が出ない
・電気がつかない(つけ方が分からない)
・キーの使い方が分からない
・空調の調節は自分でできるのか(やり方が分からない)
・モーニングコールはお願いできるか
・日本語のテレビは見られるか
・枕銭(枕チップ)は必要か、いくら払えば良いか
・ホテルで両替はできるか
・どこか両替できるところはないか
・この店でカードは使えるか
・この店でドル、ユーロ、円は使えるか
・チップはいくら払えばいいか
代表的な「よくある質問」は、トイレと部屋のトラブル、お金に関するものですが、他にも旅行中にはたくさんの質問を受けます。
・フリータイムがある場合のおすすめの過ごし方、食事処
・スリにあった、体調を崩した、などのトラブル
・集合時間や場所(確認でよく聞かれます)
・おすすめのお土産
・買いたいものが日本に持ち込めるか否か
これらのあらゆる質問に、添乗員は丁寧に的確に答えなければなりません。
ある程度の情報はしっかりと頭に入れておいて、すぐに答えられるようにしておきましょう。もし、分からない質問を受けたら、すぐに確認して答えるようにしてください。
対客電話の質問に対しても、旅行中の質問に対しても、しっかりと答えるためには事前勉強と情報収集が必要不可欠です。
現地の天候や天気、通貨、物価、食事や文化、ライフライン事情、治安など、基本的な知識はガイドブックや外務省の公式サイトなどで頭に入れておきましょう。日本と海外では異なる文化が多いため、お客様も不安なことが多いです。特に対客電話は、添乗員がお客様と初めて話す大切な業務になりますので、お客様が安心して旅行を楽しんでいだけるように優しく丁寧な対応を心がけましょう。
行ったことのない国に添乗する際には、先輩添乗員の話を聞いて、質問への準備をすることも大切です。