旅行パンフレットを読んでいると「現地係員がご案内いたします」といった記載を目にします。
今回は現地係員とはどのような仕事をするのか、添乗員とは何が違うのか、また、添乗員と現地係員の関係性などについて詳しく解説していきます。
現地係員と添乗員は、何が違うのでしょうか。
旅行関係の仕事をする上で、この2つの違いをしっかりと理解していなければ、お客様から質問を頂戴した時に困ってしまいます。例えば「現地係員が案内します」という表記と「添乗員同行」という表記がどう違うのか、仕事内容の違いを見ていきましょう。
現地係員は、ひと言で言えば「現地に到着した旅行客のサポートをする」人です。
例えば、スペインのマドリード空港に到着したツアー客一行を、空港で出迎えて送迎バスまで案内し、送迎バスの運転手に必要事項を伝達し、ホテルまで送り届けるといった仕事内容になります。ホテルにツアー客が到着したら、現地係員は一旦そこで仕事終了となり、帰宅します。
翌日も同じ人がホテルに迎えに来て、観光地までアテンドしてくれることもあれば、違う人がやって来てアテンドすることもあります。
マドリードからバルセロナへ移動すれば、現地係員はマドリードの人からバルセロナの人に代わります。
現地係員は現地在住者がその仕事を行うため、海外の場合は現地在住の日本人か、日本語あるいは英語が話せる現地出身者となることが多いです。
添乗員は、ひと言で言えば「出発前から帰着までフルサポートする」人です。
例えば、スペインのツアーの場合、出発前の挨拶と確認の電話をかけるところから始まり、空港での案内、点呼、トランジットのサポート、現地の空港での入国サポート、ホテルでのチェックイン、留意点の確認、朝食の案内、ホテルの部屋でのトラブル対応(海外ではお湯が出ない、電話がつながらない、などのトラブルがよくあります)、翌朝の点呼、観光への同行、レストランでのドリンク注文、他、フルで旅程をサポートします。
マドリードからバルセロナに移動しても、もちろん同じ人が添乗し、日本に帰国するまで完全に同行します。
添乗員がフルサポートの仕事だということが分かったところで、皆さんはこのように理解したはずです。
「添乗員がついて100%サポートするツアーか、現地係員が現地でサポートするだけの添乗員無しのセミサポートのツアーか、この2種類があるということか」と。
しかし、実は添乗員つきの100%フルサポートツアーにも現地係員が登場するのです。
その理由は2つあります。
もう少し詳しく見ていきましょう。
現地係員は、現地に住んでいる人となりますので、現地の言葉が話せます。
現地係員は、現地在住の日本人の場合もあれば、現地出身で日本語か英語が話せる人の場合もあります。共通しているのは現地の言葉が話せるという点です。
添乗員は英語が堪能な人は多いですが、その他の言語まで話せるマルチリンガルという人はそう多くありません。しかし旅行で訪れる国は英語圏だけでなく世界中のあらゆる国と地域が対象となります。
空港やホテル、観光地では英語が通じるところが多いですが、一部の国と地域では英語が通じにくかったり、バスの運転手が英語を話せなかったり、現地語で会話ができた方がスムーズに旅程を進められるということがあります。
そんな時に、現地語と日本語(もしくは英語)が話せる現地係員は強力な助っ人となってくれるのです。
現地係員は現地在住者になりますので、現地について詳しいです。また、旅行者を案内するスキルはきちんと会得しているため、スムーズに旅行者一行を案内してくれるのです。
国内でも、ガイドとは別に現地係員の案内を受けて添乗員が旅行客一同を誘導するということもあります。
また、特定のツアーに参加しなければ立ち入れない場所であったり、特別な許可が無ければ入れない場所であったり、そのようなエリアへ行く場合も現地係員が登場します。これは国内であっても海外であっても共通しています。
添乗員つきのツアーにも現地係員が登場することが分かりましたが、現地係員と添乗員の関係性はどのようなものなのでしょうか。
現地係員と添乗員は、協力してツアーを進行する仲間です。
添乗員は様々な国と地域をまわり、旅行客をサポートしますが、行く先々の国や地域に住んだことはありません。住んだことのある国や地域はあるかもしれませんが、全てではないです。
そのため、現地の様々な事情に精通している現地係員が水先案内人になってくれると非常に助かります。手続きや案内にまごつくことなく、旅行客をスムーズに誘導できるためです。
また、現地で気を付けなければならないこと、気になっていること、質問事項なども現地係員にできるので、安心です。
一方で現地係員は添乗員と密に連絡を取ることによって、旅行客をスムーズに受け入れて案内できるようになり、旅行客に良い印象を与えることもできますし、より多くの旅行客の誘致につなげることもできます。
添乗員と現地係員が協力しあって、双方にとってwin-winの関係になることが大切です。添乗員と現地係員は直接会って事前打ち合わせができないため、「はじめまして」で出会った時からコミュニケーションを密に取ってすれ違いや勘違いの無いように留意する必要があります。
旅行関係の仕事に就きたい、と漠然と思いながら、どのような仕事を目指したら良いのか分からない・・・という方もいるでしょう。
旅行が好きで旅行関係の仕事に就きたいならば、添乗員が断然おすすめです。
現地係員は、確かに旅行関係の仕事ではありますが、自分が住んでいる街にやってきた旅行客を出迎えてアテンドする仕事です。
地元のことが大好きで、地元に来る沢山の旅行客に地元の良いところを知ってほしい、地元で良い思い出を作ってほしい、という方は現地係員が向いています。
しかし、現地係員になるためには、ある程度の観光名所のある場所、あるいはその場所へ通える場所に住んでいなければならないため、条件が絞られてしまいます。
出身地ではなくても、特定の国の特定の場所が好きすぎて、そこに住み現地係員として活躍している人もいます。
現地係員の仕事や特徴について、添乗員との違い、添乗員との関係性などについて解説いたしました。添乗員として働く上で、必ず関わり合いをもつことになる現地係員の仕事について知っておくことは、スムーズに業務を進める上でとても大切なことです。
ぜひ頭に入れて、仕事上で良い関係を築いてください。